全波整流化

 

通勤快速として使う際の懸案事項の一つが、ヘッドライトの暗さ。

原因はヘッドライトバルブのワット数の低さなんだけど、そもそも、根本的にヘッドライトへの電力供給能力が低い。

NSR50 のジェネレータを見てみると、下の図の様な回路になってる。(実際にはイグニッションとタイミングコイルもある)

Layer 1 黄:ライト電源 白:レクチファイヤ・レギュレータ 緑:アース

形式としては単相交流発電機なんだけど、コイルの片方をアースに落とした半波しか使わない簡易な形式になっている上に、ライトへの電力はコイルの途中から取り出された交流電流で点灯する様に作られている。

ライトを専用のコイルで点灯させているので、バッテリーは小さくて済むし、バッテリーが上がってもヘッドライトとテールランプだけは点灯するし、コストや使われ方が厳しい原付はこれが一つのやり方だったんだなぁという構造。

というか、昔のセレン整流器を使っていたときの構造から変わってないんじゃないか?

だけど、回転数によって発電量が大きく変化するので、ライトやテールランプの明るさがエンジンの回転とともに変わるし、そもそもの発電量が少ないので、暗い。

という訳で、単相交流発電機なのは致し方無いにしても、全波整流化して発電量を上げ、ヘッドライトもバッテリーからの直流電源で点灯させて、明るく安定的にする改造に手をつける事にした。

Layer 1 緑:アース レクチファイヤ・レギュレータ

改造は左のごとく。

アースに落としてあるコイルの片側をひっぺがして取り出してきて、全波の単相交流を、全波整流用のレクチファイヤ・レギュレータに食わせてやる。

ジェネレータ内部に新しい線を挿入するのは厳しいので、元々ヘッドライト電源を取り出していた線を流用する。

ノーマルのレクチファイヤ・レギュレータは半波整流用なので、単相全波整流用のレクチファイヤ・レギュレータか、三相全波整流用のレクチファイヤ・レギュレータが別途必要。

また、このままだとヘッドライトもテールランプも点かなくなるので、ライトの電源ラインに、メインキー ON でバッテリーからの 12V を供給する様に変更する事が必要(アクセサリ電源から取るのかな)。

レクチファイヤ・レギュレータについてはホンダのスクータ用(?)のを使うのが常套手段だったようだが、高いとか手に入らないとかで、今回はヤマハの TZR か FZR 用の三相交流用のものを使用。

ツインサスの SRX 用ならちょうど単相交流用なんだけど、ヤフオクでは意外に高額て取引されていたので、パス。

後でわかったんだけど、モンキーの改造用として、中国製の単相交流用の全波整流レクチファイヤ・レギュレータが800円程度で売られているようだ。

まずは左のサイドカバーを外してフライホイールの取り外し。

この為だけにSTRAIGHT まで出かけて、ユニバーサルホルダーとフライホイールプーラーを買ってきた。

ユニバーサルホルダーでフライホイールを固定してセンターのナットを外し、逆ネジになっているフライホイールプーラの頭を奥までねじ込んだ後、十字レンチ部分(こっちは正ネジ)をねじ込んで行ってフライホイールを軸から引っこ抜く。

と言うのは簡単だけど、この十字レンチをねじ込んで行くのが固くって、結局CRC を噴いてしばらく待ち、十字レンチを手で可能な限りねじ込んだ後、プラスチックハンマーでゴンとどついてはずした。

外れる瞬間はバキッ!!という音がすると聞いていたけど、本当にその音と感触を味わった時には「壊したか?」という焦りが一瞬心の中をす〜っと (^^; 。

フライホイールを外すとコイルにご対面。

上の黒いのがイグニッションコイル、下の巻き線むき出しのが発電コイル。

右にある小さいのがタイミングコイル。

写真は発電コイルを外した所。

上の緑の絶縁パイプの線がコイルの片端、レクチファイヤ・レギュレータに行く線(白線)。丸端子がもう片方の端でアースに落とされている側。

下から出ているのが、コイルの中間につながっている、ライト電源を取り出す線(黄線) 。

黄線とコイルの巻き線は絶縁パイプの中で圧着されている。

コイルの巻き線と黄線をニッパで切り離し(巻き線同士は切り離さないこと)、ビニールテープで絶縁した後、変に動かないようホットボンドでコイル本体にくっつけておく。

次にアース線に付いている丸端子を外して、先ほど外した黄線とハンダ付けでつなぐ。こいつの絶縁は、元々黄線にはまっていた絶縁パイプを使用。

つなぎ替えが終わったら、線が可動部分(フライホイールの軸やフライホイール本体)と干渉しない様にコイルを戻して、きちんとネジを締める(ねじ切らない様に)

これでコイルの改造は完了。

後はフライホイールを元通りに戻し(磁石が付いているので鉄部分とくっ付こうとして、ちょっと入れにくい)、電線が干渉してない事を確認して固定する。

元々のジェネレータから出ている配線は、「黄:ライト、白:発電コイル、緑:アース」の3本だが、コイルの改造によってこれは「黄・白:発電コイル、緑:アース」になる。

ハーネスに黄色の線だけつながずに別で送るのでも良かったんだけど、電源系の配線を1セットにしたかったので、ハーネスのコネクタは使わずに別の線を3本、直接レクチファイヤ・レギュレータまで引く事にした。

レイヤ 1

元のレクチファイヤ・レギュレータは半端整流用(ダイオード一つ)なので、全波整流用(ダイオード4つ)に交換するんだけど、当然接続端子は異なる。

このヤマハのレクチファイヤ・レギュレータの端子は左の様になっている。

端子側からコネクタのロックを上にしてみた場合、右下がレギュレートされた +12V 出力。残りの3端子が交流入力。そしてレギュレータのボディ自体がアース端子。

改造したコイルからの出力は単相交流なので、3つの交流入力のうち、2つを使用する。

左の写真では上の2つの端子にジェネレータからの白と黄色の線を繋ぎ、アースの緑線をボディに、そして右下の端子から +12V を取り出している。

また整流された +12V 出力とアースラインは、元々のレクチファイヤ・レギュレータがつながっていたハーネスのコネクタの +12V (赤)とアース(緑)線につないでバッテリーへの充電& CDI 他への給電としている。

この状態でエンジンをかけてチェックすると、交流出力が 14V 程度。直流出力は無負荷状態だとちゃんと測れず、バッテリーをつないだ状態だとバッテリー電圧と同じ。

う〜ん、こんなものかなぁ。

その辺りをしばらく走ってみた後に測るとバッテリー端子の大分電圧が上がっていたので、ちゃんと充電もされているみたい。

後は完全に充電されている状態でちゃんとレギュレートされるかどうかと、ライトを付けっぱなしで走ってもちゃんと充電されるか(発電量が十分か)というチェックが必要だけど、さすがにナンバー取らないと走り回れないからなぁ。

nsr50

レギュレーターとハーネスのコネクタへの接続は、最初むき出しの平端子で行ってたんだけど、先々外した時に多分わからなくなってしまうので、ちゃんとコネクターで接続する事にした。

使うのは 250 型というタイプのコネクタ。

近所のオートバックスには置いてなくって、離れた所にあるバイクセブンまで行って買ってきた。

ところが実は近所のホームセンターに安くで置いてあったというオチ付き。

メーターステー

で、レギュレータ側はすっきりと接続できたけど、ハーネス側はロックの形状が微妙に異なって合わず、ちょっと無理矢理にはめ込んだ。

コネクタをもう一組買ってきて、ハーネス側のコネクタを取り替えてしまった方が良いかなぁ。

nsr50

ライト回りの電源(ヘッドライト、テールランプ、メーター照明)をバッテリーから供給してやらないといけない。

配線図を調べたら、車体左前部の集中コネクタにアクセサリ(ACC)電源とライトスイッチへの配線が来ているので、その ACC を分離させて直接ライトスイッチへの配線に流し込んだ。

でもこの ACC ラインをテスターで測るとバッテリーの電圧よりも 1.5V 程度低い。

またこのラインは元々ヘッドライトの電流を流す事を想定していないし、このままだとヘッドライトのワット数を上げたりするのは辛いなぁとおもって、リレーを噛ませてライトスイッチにバッテリーから直接電流を供給する事にした。

基本的にもとのハーネスはいじりたく無いと思っていたので、ACC 電源の取り出しとライトスイッチへの電流供給の為にアダプターを噛まそうと思ってコネクタを買ってきた。

250 型よりも端子の細いこのタイプは 、110 型という奴になる。

4 端子とか 6 端子ならエーモンからもでてるんだけど、9 端子になると無いので、バイクセブンまで出かけて DAYTONA のを買ってきた。

nsr50

で、アダプタを作ってリレーをくっつけた訳なんだけど(リレーはステムの方に押し込んである)、なんか冗長というか不細工というか。

素直に前の様にもとのコネクタの端子を外して分岐させたりする方がきれい、そして防水性も良さそうだなぁ (--;

nsr50

後、レクチファイヤ・レギュレータがシートカウルと干渉していたので、位置を変更するのと放熱性を上げる為に手持ちの 3mm のアルミ板でサポートを作成。

サポートと言ったって、ただ単にアルミ板を切って穴あけ&ネジを切っただけなんだけどね (^^;

という事で、全波整流化とライト回りの直流化作業完了。

夜にライトを点灯した所、ノーマル状態よりかは明るいけど、まあ所詮は 20W か 25W の PH7 バルブを使用した、プラスチックレンズのヘッドライト。

走っていて暗い様なら 35W ぐらいのバルブを探すか H4 のバルブが使えるヘッドライトに変えるか。