ミクニフラットφ24

 
1.はじめに

NSR80 でも同じキャブを使ってるんだからという話があるのでずっと純正キャブで色々頑張って来たんだけど、ノーマルでもリュータで削った自作口径アップキャブでも、スロットル開き始めのちょっと濃い部分が対策出来ず、そのうちにフロートを取り付けているピンの固定部分を壊してしまったり。

予備の純正キャブレターに交換したものの、開き始めの濃い部分がどうしようもなく、結局後1段ニードルを下げたいが為にスロットルバルブを削って対策したり。

色々手を尽くして頑張ってみたものの、下をきれいに回そうとすると上のパワーがでないし、上のパワーを出すと下がばらついて仕方無いし。

与えられたものの中ではベストなセッティングにはなっていると思ったんだけど、口径アップキャブのパワー感を経験しているのもあって、乗っているともやもやしたものがこう、心の奥底に淀んでいるというか。

と言う訳で、我慢しきれなくなって、ビッグキャブに手を出してしまった。

 
2.さて、始めよう

ノーマルの NSR50 用ビッグキャブとしては、ケイヒンの PCφ20 やミクニの VMφ20、60cc〜70cc 程度にボアアップされた NSR50 用にはケイヒンの PEφ24 かミクニのフラットφ24 が一般的の様だ。

パワーを求めるならケイヒン PWKφ28 という話があるが、現在は混合仕様のものしか手に入らないようなので、街乗り分離給油が必須のうちのマシンには、これはパス。

他にはミクニベースのヨシムラ TM24-MJN もあるけど、現在は4ストミニ用で販売されていて、2ストは動作保証無し。黒いボディと MJN(マルチプルジェットノズル)には憧れるものの、値段的にもさすがに手は出せないなぁ。

と言う事でケイヒン PEφ24 かミクニフラットφ24 が候補。

ケイヒンはセッティングがしやすいという評判なんだけど、どうもその理由が、セッティングが少々ずれてても問題無く走ってしまうという事らしく、またミクニはセッティングが合えばバッチリパワーが出るという話を聞いて、そして「フラットバルブ」へのあこがれがあって(笑)、ミクニに決定。

Webike でキタコから出ているマニホールドとかスロットルワイヤー付きのキットを購入。

ノーマルのキャブレターに比べてでかい (^^;

分離給油用のオイルホースはノーマルの様にマニホールドにではなく、キャブレター本体に接続する様ニップルが取り付けられている。

キャブレターの開口部の奥に見える黒い板がスロットルバルブ。

実際には板ではなく、長方形のブロック。

赤い3本のホースは全てオーバーフロー用。

フロート室に付いているホースもオーバーフロー用で、フロート室下のネジを緩めてもノーマルキャブレターの様にホースからガソリンが出てこず、ネジの部分からガソリンが噴き出してくるだけである。

ジェットを交換する際にガソリンを抜くには、ネジを緩めず、キャブレターをひっくり返してやれば、左右のホースからガソリンが抜けてくれる。

これはノーマルキャブ。

アルミダイキャストのがっちりしたインマニでエンジンにがっちり取り付けられているし、キャブレターのサイズも可愛いもの。

スロットルワイヤーとインテークマニホールドを付属の物に交換。純正と違い、インマニとキャブレターはゴムパイプで接続される。

インマニにバンドをはめ、キャブレターを差し込んで締め付けたら取り付け完了。

分離給油のオイルパイプは純正の様にインマニに取り付けるのではなく、キャブレター本体に取り付けるのだが、セッティングの度にこのホースを外さないといけないので、ちょっと整備性は悪い。
まぁ、でもサーキット用のキャブだし、通常は混合給油にするんだろうなぁ。

 

ちなみにホースを取り付けるのを忘れてると、それまでよりも断然少ないエアスクリューの開き量で、且つ素直にエンジンの回転が変わってくれて、非常に調整がしやすい(と言ってはめるのを忘れると、焼き付くぞ)。

また、付属のゴミよけネットだが、オイルポンプのワイヤーステーと干渉するのでペンチでちょっと曲げておく必要がある。

加えてキャブレターが大きくなった分、ワイヤーの引き量が多くなり、スロットルを目一杯ひねった状態ではオイルポンプの開きが非常に大きくなる。

絞るにも限界があるし、低速でオイル不足で焼き付いても嫌なので、上でオイルの吐出量が多くなる事は諦める。オイルポンプのワイヤーガイドの径を大きく出来たら良いんだけど、そこまでは加工同部も技術も無いしなぁ。

で、結局付属のゴミよけネットは今イチなので、ついヤフオクでポチッとしてしまったファンネルを装着。

キャブの口径が大きくなるとファンネルもでかくなるわぁ (--;

後日これにスポンジフィルターを装着。純正キャブの経験から、フィルターつけるとセッティングがずれまくると思ったけど、意外とそのままでいける。

ただ、やっぱりこのファンネルはちょっとでか過ぎたかな (^^;

ちなみに、キャブ奥から前方に延びているワイヤーは、チョークプランジャーを引く為のもの。針金をプランジャーレバーの穴に通して巻き付け、前の方に引っ張り出しているだけ。

左にレバーを出すチョークレバーキットを買えばいいんだけど、5千円弱するし。レバーを自作しようと思ったけど、労力の割りに対して使い勝手の良いものが出来そうに無いし。

プランジャーを引くしか出来ないけど(押し込むのは指入れて行う)、下手にフレームの隙間に指突っ込んでレバーを操作するよりも使い易いんじゃ無いかなぁ。

 
3.どうよ

まずは標準の PJ25/MJ150/クリップ中段から始めたけど、この状態でもなんとか走ってはくれる。くわえて純正キャブよりも断然パワフル。

面倒だからこのままでもいいかなぁと一瞬思ったけれど、やっぱり上はちょっと薄いし、それよりも開き始めやスロットルを閉じた時にバラバラとうるさく、完全に下が濃い。

結局はオーバーサイズのメインジェットセットとアンダーサイズのスロージェットセットを買って、最終的に SJ17.5/MJ160/クリップ上段/エアスクリュー 1.25 戻し、点火時期 1度進角でいい感じかな。

メインジェットを 165 に上げると、スロットルを開いたときにドガガガガとトルク感がアップして気持ちいいのだが、中低速が濃くなりすぎてばらつくのと、上の回転が苦しくなってくる。

といってスロージェットを 15 番に下げると、今度はちょっと開き始めた辺りが薄く、加速が鈍る。

もう少し気温が下がってくれば別だろうが、気温が 25℃以上有る時には、このセッティングがベストの様だ。

ちなみに、スロットルが 1/4 〜 1/3 開度辺りでどうしても燃調が狂う。純正キャブ程明確には出ず、スロットルを開いてやればすんなりそのエリアを越えてくれるのだが、これはもうこのエンジンの特性なんだろうな。

また、トルクの谷が7千回転超の所にある。これはチャンバーの特性かな。

5〜6千回転でとろとろ走るか8千以上でパワフルに走るかになるので、これは使い方に合わせて最終減速比を考えるか。

 
4.ただね

音でかいっす (--;

スロットルを開けない時には静かなもんだけど、開け始めるとと爆音になってくる。

う〜ん、2ストは仕方無いか (--;

 
おまけ.セッティング

夏場(気温30度超): PJ 15.0 , MJ 157.5 , エアースクリュー 3.5 回戻し、クリップ最下段

冬場 : PJ 17.5 , MJ 160 , エアースクリュー 3.5 回戻し、クリップ最下段