シート表皮の張替え 2010/3/1

 
1.はじめに

新しいSRXに付いていたシートは、どうもノベルティ品らしい、本皮製のシートだった。さすがに大分すり切れたりしているものの、皮はしなやかでまだまだ使える。

とはいえ、スポンジがへたっているのかアンコ抜きしてあるのか、座面が固くてお尻が痛い。また皮の特性なのか、冬場はとにかく冷たく、青空駐車でカバーをかけているだけだと、露も付いて座るとお尻がぬれてしまう。

これではちょっと乗っていて辛いので、シートをアンコ盛りして表皮を張り替える事にした。

表皮はホームセンター等で安い皮を買う事も考えたが、滑り難くてしっかりしたものにしたかったので、ヤフオクで初期型 SRX 用として出品されていた、福岡のPeaceCraft さんの縫製済みの表皮を買う事にした。

また、元のシートは滅多に見る事のできないせっかくの本皮シートなので、ヤフオクで安い中古シートを買い、元のシートはそのまま残しておく事にした。

 
2.シートの表皮剥がし

ヤフオクで手に入れたシートは表皮の一部が破れ、ベルトは中の地がむき出しの状態。

でもスポンジはあまりへたっている感じが無いのでOKかな。

まずはシートの金具を全部外して行く。

ロック金具の台座の片側は、タンデムベルトの台座で固定されているので、まずはタンデムベルトを外す。

タンデムベルトのボルトには抜け止めのβピンが刺さっているので、それを抜いてから、ボルトを抜く事になる。

金具類には結構錆が浮いており、ばらした後、ワイヤーブラシで錆び落しをしておく。

ロック金具等の下になっているゴムワッシャー等はそれほど劣化している感じは無かったが、ゴム足は大分やれている。

とはいえ、それまで買い替えるお金はないので、ゴム類はアーマーオールを塗り込んで再利用。

パーツを外したら、マイナスドライバーとペンチを駆使して皮を留めているタッカーの針を外して行くのだが、特にシートの前後ではぼろぼろに錆びている針が多く、ドライバーでこじたら針がポキン、ペンチで引っ張ったら、またまた針がポキンという状態。

それでもまあ、地道に針をすべて外し、シートを剥がそうと思ったら、は、剥がれない。

経年劣化でシート表皮が固くなってしまっており、まるで整形したプラスチックカバーのようにシートにぴったりとはまり込んでいる。

仕方ないので折り返し部分を手で広げながら(バキバキ言うんだもんなぁ)、シート表皮をシートのエッジから外して、漸くシート本体のお目見え。

う〜ん、特に前方のエッジの劣化がひどいなぁ。でもウレタン自体は劣化も少なく、柔らかい状態。

 
3.シートのクッション加工

SRX のノーマルシートは座り心地が悪いので、衝撃吸収シートを埋め込み、スポンジを張ってクッション性を上げる事にした。

最初はソルボセイントかスーバーゲルシートを考えてたんだけど、東急ハンズに見に行ったら大分高価だったので、似たような感じのショックノンという 5mm 厚の衝撃吸収ゴムを買って来た。

ちょうど座るあたりに衝撃吸収ゴムを埋めるべく、まずはマジックでラインを引いてカッターナイフで切り込みを入れ、カッターナイフでウレタンを剥いで行く。

ウレタンは固いようで柔らかく、柔らかいようでカッターナイフの刃をはじき返したりで、非常に作業性が悪い。

はさみも使ってみたが、結局ウレタンを引っ張りながら皮を剥ぐように削いで行くのが一番効率が良かった。

表面を剥ぎ終わったら平面にならすのだが、最初100番ぐらいの紙ヤスリを使ったものの、全く歯が立たない。

どうしたもんかいなぁとしばらく考えた後、木工用の荒いヤスリを使ってみたら、これがヒット。大分楽に削る事ができた。

もしかしたら、最初からこれで削っていれば良かったのかもしれない。

掘った部分に現物合わせで衝撃吸収ゴムをカットする。

こいつははさみで簡単にカット出来るから楽。

形を合わせ終わったら、スプレー糊(コニシ(株)のボンドスプレーのりZ−3)で衝撃吸収ゴムをはりつける。

また前端部をちょっと持ち上げたかったのと、左右のエッジのウレタンが劣化しているのを補うため、衝撃吸収ゴムの残りを適当にカットして、ウレタンの下に押し込んでスプレーボンドで貼付ける。

次に劣化して欠け落ちてしまっていた先端部のウレタンを、シート表皮購入時に付いていたウレタンチップフォームで作成する。

衝撃吸収ゴムを下に押し込んだ、変形したサイドのエッジ部分も、ヤスリで削って形を整える。

最後にハンズで買って来た 10mm の発砲ウレタンフォームをスプレー乗りで貼って、クッションの加工完了。

でも、やっぱり 10mm は厚過ぎたような気がする....。

 
4.シートの表皮張り

さて、表皮張り。

まずは防水の為に、ビニールシートをスプレー糊で貼付ける。

しわが無いようにと思ったのだが、先端部等は無理 (^^;  。

ビニールシートはぴったり貼る事が目的じゃなく、ずれない、皺にならないようにするのが目的なので、ある程度の所でOK。

次にシートの皮をかぶせて、ハンディタッカーで少しずつ留めて行くのだが、ここで大問題発生。手持ちのコーナンのタッカーで行けると思っていたのに、打ち込んでみると尽く針がM字型に曲がってしまい、全く入って行かない。

これはタッカーがダメなのか、それとも針が駄目なのか。ネットで情報をあさって見ると、ここに色々なタッカーの比較があったが、コーナンのタッカーでも特に問題なさそう。

で、針を替えてみようと近所のホームセンターに行ったが、「MAXステープル」は 6mm どころか 8mm も置いておらず、 10mm とか 12mm の長いものばかり。8mm は今使っている打ち込めない奴なので、お話しにならない。

じゃぁタッカーを評価の高いダイソー物を使ってみようかと買いに行った所、既に製造中止で再生産の予定も無しとのこと。

う〜ん、どうしようかと悩んだあげく、駄目元でホームセンターで SOUTHERN CROSS のマルチタッカーを購入。

こいつで試してみた所、見事に打ち込む事ができたのだった。

で、ほぼシート張り完了。張っている最中は忙しくって写真取っている余裕が無かった(笑)。

表皮張りは、まず皮をシートに被せ、大体の位置を調整したら前後を仮止め。

続いて左右の位置を合わせながら(この表皮は縫い目があるので)左右を仮止め。
そして皮をピンと張るように引っ張りながらタッカーを打つ、緩んだ所の針を抜いて、また皮を引っ張って打つ、の繰り返し。
左右を先に絞り込んでから、前後を留めると言うのがやりやすいと思う。

また、前端部の修正の仕方が悪かったのか、前端部の皮の張りが悪かったので、余っていたスポンジを押し込んで肉盛りした。

表皮の伸びが悪い時はドライヤーで熱してやるといいのだが、それよりもタッカーの針の入りが悪い時に、同じくドライヤーでシートベースを熱してやるときれいに入る事を発見。これで大分作業が楽になる。

皮を張り終えたら、余分な皮とビニールシートをカットして出来上がり。

専用の表皮なのとアンコ盛りしている事もあって、この時点で皮のカットは無し。

妙にパンパンのまるっこいシートの出来上がり。

一緒に作ってもらったタンデムベルトに、元のベルトについていた金具を付ける。

この金具が以外としっかりしていて、へんに曲げないように取り外すのに、ちょっと苦労する。

またタンデムベルトを取り付けるには当然穴をあけないといけないのだが、その穴がちょうど縫い代の所に来た為、ちょっと皮のカットが必要となった。

縫ってある所をカットするのには少し抵抗があったがあ、目止めしてくれてある事もあって、特にほつれ等の問題もなかった。

で、先に外した金具類を全部取り付けて、タンデムベルトをねじ込む。

アンコ盛りしてパンパンになっているので大分きつかったが、取り敢えず装着完了。

最後に現在使用しているシートからキーシリンダーを外し、移植して完成。

 
5.できあがり

並んでいるシートの上が新シート、下が元々付いていた皮シート。
ものすごくシルエットが違うのは、もうご愛嬌という事にしましょう。

で、本体に装着した所。

友達に見せたら「タラコが載っている様だ」と形容された。

う〜ん、確かに...。

で、肝心の乗り心地だが、「う〜ん、ラグジュアリ〜」と言う所か(笑)。

ちょっと締まったふかふかシートで、路面の突き上げも優しく吸収してくれる。そして、なんといっても暖かい。今までのシートの様に、またがった瞬間お尻がきゅっとしぼんでしまいそうな冷たさが無い。また走っていてもゴツ、ゴツという路面からの衝撃がとても少なく、大きく荒れた路面に入った時の、お尻を下から蹴り上げられるような衝撃が大分軽減された。

座面の滑りも大幅に改善されて、今までのようにつるつる滑る事が無く、お尻の座りが非常によろしい。

ただ、シートが高くなった分、ハンドルが少し低くなったように感じるのは仕方ないか。
それがどうしても我慢出来なければ、ちょっとスペーサーを噛ませてハンドルを上げてみよう。


で、後日談だが、この乗り心地ならいけるんじゃないかと思い、サスをヨシムラKYBに換えてみた。

以前のコツコツと言う固い感じが大分薄れ、結構気持ちのいい乗り味に感じる。

しばらくこれで走ってみるかなぁ。