LEDウェッジ球の作成 2010/10/13

 
1.はじめに

リチャードさん来日時の関東方面ツーリングの帰りにテールランプが切れた。

取り敢えずガソリンスタンドで手に入れた車用のダブルフィラメント球を付けて帰って来たのだが(こいつが 24V 球だったというのが後に判明。トラック用やん)、主要灯火系が旅先で切れるというのはやっぱり困る。おまけにバイク用の電球はガソリンスタンドで非常に手に入り難く、と言って各種バルブを交換用に持ち歩くのも大変だ(ヘッドライトのだけは持っているが)。

そこでバルブ類の LED 化を思い立ったのだが、テールランプやウィンカーランプの作成は大掛かりなので、まずは小物のインジケータランプを LED 化しようと思い立った。

当初プリント基板をコネクタに刺さる幅で切って LED を直づけしようと思ったのだが、 LED ウェッジ球を作る為のウェッジベースが安価で売られているのが分かったので、それを使う事にした。

また電流制限は抵抗で行うつもりだったのだが、「バイクは昼間でもライトオン」を実践している事もあって、うちの SRX はアイドリング時で 11V 前後、エンジン定常運転時 14.2V ぐらいと電圧変動が激しい。

この条件で安定した明るさを保つのも難しいので、値段が高くなるけど CRD (定電流ダイオード)を使う事にした。

残る問題は LED の極性。電球は無極性なので2本の端子のどちらが+−になっても良いのだが、 LED はそうはいかず。極性が逆だと点灯しないばかりか LED が破壊される事もある。

最初はダイオードを1つ付けて逆極性で繋いでも壊れない様にするだけで良いと思っていたのだが、わざわざコネクタのどちらに +12V がくるのかを調べるのもしんどいので、ダイオードブリッジを作って無極性化する事にした。

ダイオードブリッジというのはこういう回路で、入力側が+ーであってもー+であっても、出力側は必ず極性が決まるというもの。

通常は交流を直流に変換する整流器に使われる回路。

ブリッジダイオードという素子で売られているし、超小型のもあるのだが、今回タイトなウェッジベースの中に組み込まないといけない為、ダイオードを組み合わせて自作する事にした。

上のダイオードブリッジ回路の左側に +12V を入力した場合、左図の様に左上と右下のダイオードが正方向となって電流が流れ、出力の上側が +12V となる。

入力の右側に +12V を入力した場合、左図の様に右上と左下のダイオードが正方向となって電流が流れ、同じく出力の上側が +12V となる。

このように入力の左右どちら側が +12V になろうとも、出力側の上部から +12Vが取り出される事になる。

で、ウェッジ球の回路は左の様になる。

ダイオードブリッジで極性を確保し、CRD (定電流ダイオード)で LED に流れる電流を決めると言うごく簡単な仕掛け。

最近の高輝度 LED だと最大 20mA 程度まで流す事ができるのだが、CRD を使わない場合は抵抗で電流量を制限する事になる。

抵抗で電流を制御する場合、左の図の様な回路になる。

左の図で、 V0が電源電圧、V1,V2 がそれぞれ抵抗と CRD にかかる分圧であり、 V0=V1+V2 の関係になる。

V2 は使用する LED によって決まっており、手持ちの白色だと 3.1Vになる。オレンジの LED 等だと、 2V 前後が多いかな。

これで最大輝度にする場合、 i0 はその LED に流せる最大電流になるので、同じく手持ちのだと 20mA である。この辺りどの色の高輝度 LED でも同じぐらいな感じ。

うちの SRX のエンジン運転時の電源電圧は 14.2V というところなので、抵抗に掛かる電圧 V1 は 14.2 - 3.1 = 9.1V

オームの法則から R1 = V1÷ i0 = 9.1 ÷ 0.02 = 455 Ω、という形で電流制限抵抗の値を求めるのだが、ここで問題になるのが電源電圧の変動。

アイドリング時には平気で 11V 前後まで電圧が落ちてしまうので、この際に LED に流れる電流は i0 = V1 ÷ R1 = (11-3.1) ÷ 455 = 0.017 = 17mA に落ちてしまう。逆に電源電圧が上がってしまうと、LED に流れる電流の最大許容量を超える可能性もある。

と言う事で、大きくはこの変動を嫌って抵抗じゃなく CRD を使う事にした。

ただ CRD の難点は価格と種類が少ない事。

抵抗が1本 10 円以下で種類も非常に豊富なのに比べて、 CRD は1本 60円とか 80 円する上に、18mA, 15mA, 10mA 等、数種類しか無い。

まあ大量に作る訳じゃないから良いか。

 
2.さて、やってみよう

これはもう大分手慣れた頃の作成写真だけど、まずは CRD を正方向で、 LED のアノードにハンダ付けする。

様は、CRD の帯のある側を、LED の長い方の足にハンダ付け。

次にダイオードでブリッジを作成。

複数の LED を点灯させるのならダイオードも電源用の余裕のあるものを使うのだが、LED 1個だし、それなら許容範囲内という事で、昔買った 1S1588 互換のものを使用。

プロトンロケットの様な感じだが、こんな風にダイオードを組んで行く。

で、完成。

こいつらは最初に作った奴だが、まだまだ完成度が低い。

下の3つが最終型。

上の初期型に比べてきちんとウェッジベースに治まっている。

最後に絶縁と補強の為にウェッジベースの中にシリコンシーラントを充填して完成。

 
3.感想

LED 球を作ってからなんやかんやで忙しくって中々取り付けられなかったけど、ようやく時間ができたので、やっと取り付けた。

ニュートラルランプにはグリーンを、ウィンカーインジケータにはオレンジを、ハイビーム警告灯にはブルーの LED を使ったものを入れて、速度警告灯には白色 LED を使った奴を入れた。

ニュートラルランプは元の電球がもう真っ黒で切れかけ寸前だった事もあってか、非常に鮮やかできれい。

ハイビームインジケーターは出しゃばりすぎず、けれども太陽光の下でもきちんと見えてという感じ。

昔 SEROW 君のハイビームインジケータが明る過ぎて困った事を、ふと思い出した。

ウィンカーのインジケータランプはちょっと濃いオレンジ色になった。

リレーが純正の為か、点滅開始時に一瞬だけちょっと暗く、後は LED っぽくスパッ、スパッと点滅する。

速度警告灯は、また今度確認ですね。

と言う事で、停車状態では全般的にいい感じの点き方になっている。

後はしばらく使ってみて、明る過ぎたり逆に暗過ぎたり、昼夜での視認性を確認かな。

一番の問題は耐久性の気がするが、まあ自作だし、まあインジケータランプだしね (^^; 。