ACCOSATO ラジアルポンプ式マスターシリンダー 2010/11/25

 
1.はじめに

ブレーキマスターが壊れた。

最近妙にエアーを噛むなぁと思いながらエア抜きを行ったら、なかなかぬけないどころかフルードも吸い込んでいかない。

へんだなぁと思いながらブリュードスクリューを開いたり締めたりしていたが、妙に締め込む時の感触が柔らかい気がして来た矢先、「ビチッ」という音が (+_+)

げげっ、ネジ山を舐めたか?でも力入れてないのにと思ってよくよく見ると、えっ?ヒビ入っとる (*_*)

ものの見事にブレーキマスターが割れました。

こんな感じでブリュードスクリュー部にひびが入って割れた。

最初、何が起こったのか全く理解出来なかったぞ。

よくよく見ると、リコイルしてたんじゃないの?と思うぐらいにネジ山がきれいに抜けている。

で、このネジ山を見たら分かる様に、ブリュードスクリューにちょっとしかネジ山が掛かっていなかった様だ。

なんじゃこりゃぁ、ブレンボの品質ってこんなものなのか?と思ってちょっと調べてみたら、驚愕の事実が判明。

このラジアルマスターは「刻印漏れのB級品」としてヤフオクで安くで買った奴なんだけど、どうやらB級品なんかじゃなく、本物から型取りして作った粗悪な偽物だった様だ。

詳しくはこちら

妙に長かったブリュードスクリューもがたつくレバーも、見た事の無い色合いもすぐにひび割れて来たゴムブーツも、中々抜けなかったエアも他に比べて柔らかかった握り心地も、全てそういう事だったのね(涙)。

でも、もうここで文句を言っても始まらない。さあ、涙を拭いて前に進もうじゃないか。

とにかくマスターシリンダーをなんとかしないとバイクに乗ることができない。

純正のマスターは前のバイクと共に廃車だし、このバイクに元々付いていたセミラジアルは大分前に売っぱらっちゃったし。

なので新しいのを買うしか無い。

と言う事で、以前より超ウルトラスーパー安値で未だにヤフオクに出品されているこのB級品にちょっと怒りを感じながら、今度はまともなものを物色開始。

買うのはもちろんブレンボのラジアルマスター。まがい物でもブレンボのラジアルマスタの操作感を味わってしまった後では、セミラジアルも、ニッシンのラジアルマスターも買う気にはならない。

取り敢えずヤフオクでの落札価格をウォッチしながら Webike や楽天等でも探すのだが、 16φx18 のタイプは物が少なく、出品されている良さそうなものはどれも「後ちょっと出せば新品が」という価格で落札されて行く。

またブレンボは、純正のブレーキスイッチが付いていてレバー比が2種類に変更出来る新型が出ている。

なのでやっぱり新品を買った方が良いかぁ、楽天で安い業者見つけたし。と思っていた矢先に面白い物を見つけてしまった。

それは ACCOSSATO というイタリアメーカーのラジアルポンプ式マスターシリンダー。

ブレンボの OEM 品らしく、形も基本構造も旧型ブレンボと同じ。ただしピポッド部が異なり、ピポッドとレバーを変更してレバー比が変えられるそうだ。

で、一番大事なのが、ある取扱業者が円高還元セールをやっていて、そのレバー比変更タイプが 30% 引きで販売中!!

これだとブレンボのシングルレバー比タイプより大分安い!

でも某B級品の二の鉄は踏まない様ネットで色々と情報を漁るのだが、日本じゃあまりメジャーなメーカーじゃないらしく(特にオンロードの方面では)、取り付けている人の話も少ない。

ただ悪い話は見かけないので、 30% OFF の間にこのマスターを買う事にした。

 
2.さて、やってみよう

これが届いた ACCOSSATO のラジアルマスターの箱。

デザインや色合いは何となくイタリアンな感じ。

紙の切り口の処理等はちょっといい加減で、非常にイタリアンクオリティな感じ(笑)。

中の緩衝材を取って、ご本尊とご対面。

固定されていた痕はあったけど、あけた時には固定されておらず。

業者で検品してそのまま入れたのか?

本体の他には、レバー比の異なるレバー(2本)、ストレートタイプのリザーブタンク用接続アダプタ、イタリア語の説明書とシールが入ってた。

説明書と外箱の両方に、メーカーの検品者が手書きでシリアル番号や型番を書き入れて、サインをしている所がとってもきちんとしている感じ。

これがご本尊。

今まで使っていたパチモンと大違いで、本体はしっかりしているし、レバーのガタも無い。
ピボットはステンレス製できれいな作りをしている。

これ裏面。

レバー根元近くのプッシュロッドがはまっているパーツ(なんて言うのか知らない)もステンレス製みたいで、とてもきれいな作り。

レバーは可倒式+先端が折れる様に切れ目の入っているタイプ。

可倒式って手でも曲がるのかなぁと思ったら、普通じゃ曲がらないみたい。

こういったパーツの端の処理とかは、結構いい加減。

ちなみに取り付けボルトはキャップボルトじゃなく、ステンレスのボルト。

サイズとシリアル No. はここに彫り込まれている。

こういう所が何とも無駄におしゃれ感があるなぁ。

ブレンボのラジアルポンプにブレーキスイッチを付ける時は、レバーのピポッド軸の代わりにスペーサーとボルトを入れて、それでスイッチの台座を固定するとかが常套手段なんだけど、 ACCOSSATO のレバー比変更タイプはピポッド軸が特殊な形状(向きによって軸の中心がずれる)をしているので、交換することができない。

まあ軸の中心の微妙なずらしを諦めれば構わないんだけど、せっかく存在する機能を使わないのも勿体無いし。

と言う訳で、ピポッド軸の中心に穴を通し、 3mm のタップを立ててスイッチ台座を取り付ける事にした。

ちなみに、このピポッド軸には途中まで穴があけられている。

今回はそれを貫通させたのだが、製造上の都合なのか、何か中途半端。

ブレーキスイッチを ON/OFF するために、プッシュロッドの取り付け部に真鍮パイプをはめて小さなキャップボルトで固定。

直径 8mm 、厚さ 0.5mm の真鍮パイプがちょうどはまる。

ボルトは 0.5mm 厚のパイプに切ったネジで留っているので、ある意味とても繊細な状態。本当は小さな真鍮ブロックでもロウ付けしてねじを切った方が良いんだろうなぁ。

完成しました。

リザーブタンクは前のを流用だけど、位置がちょっと変わったので新しくステンレスの穴空き板で作成。

さすがにまともな物は出来が違って、エア抜きもきっちり決まる。(あたりまえ?)

 
3.感想

今まで使っていたパチモンブレンボに比べると、大分カチッとした固いタッチに変わった。

カチッとしたと言ってもラジアルマスター独特の柔らかさはあって、前の奴が固めのゴムボールを握っている様な感触だったのに比べて、今回のは軟式の野球ボールを握っているか、厚いゴムの板を押している様な感じ。

感触は悪くは無いけど、この固くなった分、握り初めの制動の立ち上がりがちょっと急になった。
特に低速時にパニックブレーキ的にキュッと握った時、今までだとギュッと制動力が上がる感じだったのに、このマスターに変えてからはガクンと急激に制動が掛かる。おかげでフロントフォークがドンと沈み込んでしまってちょっと扱い難い。

握り初めからガンと効くブレーキが好きな人には最高なんだろうけど、自分ではもっとナローに、リニアに制動力の上がって行くブレーキの方が好きなので、早速だけどレバー比を標準の 18 から 17 に変更する事にした。

でもこいつがまた面倒で、精密ドライバの先を叩き込んでレバー位置調整用のつまみのロックピンを外し、固くはまり込んでいるレバーのピポッド軸を抜かないとレバーが外れない。微妙な支点のずれも無くなる様にと考えられている機構らしいが、それにしてもこの方法はちょっとしんどすぎる。

新型ではもっと簡単に換えられる様になっているので、やっぱりそういう要望が多かったんだろうなぁ。

レバー比を変えた感じは、う〜ん、ちょっと扱いやすくなったかなぁ〜。
通常走行時は無問題。低速〜超低速走行時に、やっぱり少し神経を使うかな。

ブレーキの感覚が前に同じパッドを使っている友人の SRX に乗せてもらった時に似ているから、これが本来のカーボンロレーヌ SBK+5 の効き味なんだろうと思う。

ああ、次にお金に余裕ができたときに、一度カーボンロレーヌのレーシングパッドを使ってみたくなってきた。