ガソリンタンクの修理 2021/9/8

 
1.はじめに

最近何故か、バイクの周辺がガソリン臭い。

暑さで気化したガソリンが臭っているのか、タンクに圧が掛かってオーバーフローパイプから漏れているのか、キャブレターからオーバーフローしているのか、それともホームセンターで買ったガソリンホースがこの暑さで柔らかくなっているので、コックとの隙間から漏れているのか。

取りあえずガソリンホースを交換しようと思って新しいホースを買って、ホースの長さを調整するために外したタンクを色々動かしていた時に、タンクからポタリ、ポタリとガソリンが漏れてくる事に気がついた。

穴開いてる...orz

このままではどうしようも無いし、先ずは新品が出るか調べたんだけど、やっぱり販売終了だわなぁ。

中古タンクをヤフオクやメルカリで探したけど、イマイチ出物がなく、穴が開いてないと言ってるけど本当か?と思う様な、うちのと似たり寄ったりの感じのタンクばかり。

これは修理しかないわ。NSR50 のタンクも修理したので大体分かってるし。

で、何をどこまでやるか色々考えた結果、新品のタンクが手に入らない今、このタンクを最後まで使い続けられるように完全に修理、穴をハンダで埋めるか真鍮板を板金して塞ぎ、中のサビ取りを行った後、タンクコーティングをすることにした。

 
2.穴埋め

SRXのタンクってデザイン優先で、タンクの一番低い所じゃなく、中央の盛り上がった所にコックが付いている。
その為にガソリンを全部使い切れないし、一番低い所に水が溜まって錆びる。

ご多分に漏れず、こいつもその一番低い部分が錆びて穴が開いてた。

先ずはマジックリンと高圧洗浄機で中を洗ったんだけど、まぁ、出てくる出てくる黒や赤の錆の粉が。

ちなみに、このタンクは非常〜〜〜に水が抜けにくいので、醤油チュルチュルは必須。

それでも最後まで水を出し切れないので、最後はボロ布つっこんで吸い取るしかない。

洗い終わったタンクは大小の穴がポカリ。

鉄板が薄くなってないかドライバーで押してみたけど、大丈夫な感じ。

大きな穴と小さな穴が並んで開いている部分は、補強も兼ねて真鍮板を銀ロウづけし、その他の小さな穴はハンダで埋める事にした。

先ずは真鍮板を切り出して、タンクのカーブに合うように曲げる。

フラックスを塗ってバーナーで炙り、銀ロウを流し込む。

タンクの縁の部分の温度が上がりにくくて、イマイチ綺麗に銀ロウが流れなかった。

銀ロウフラックスの残渣を除去して、次は他の穴をハンダで穴埋め。
こっちは温度が低くて済むので、サッと完了。

大きな方も銀ロウじゃなく、ハンダ板金で良かったかもしれない。

 
3.サビ取り

穴は塞いだので、次は内部のサビ取り。

花咲かGを使おうかと思ったけど、ちょっと高いので、AZ の MOrs-001 というバイク用燃料タンククリーナーを使ってみた。

クリーナーは1L。薄めて20Lまでいけるので、公称 15L の SRX のタンクには十分なはず。
と思いきや、タンクに目一杯入れたら 17L 飲み込みやがった (--;

それよりタンクの内側にも穴が開いていたようで、クリーナーを入れてる最中に内側からピューッと液が噴き出してきた...orz

アルミテープを貼ってみたけど直ぐに緩んでくるし、仕方ないので一旦液を抜いて穴をハンダで塞ぎ、再度クリーナを注入。蓋をして時々揺すったり引っくり返したりしながら一晩漬け込んだ。

そして翌日。液を抜いて中を水洗いして、説明通りに1L程取り置いたクリーナー液を注いでリンスしてドライヤーで乾燥させたんだけど、中を覗くと黄色や茶色の染みと堆積物があるし、上面やオーバーフローパイプのサビが全然取れてない。また、NSR50 の時に使った錆取り剤と違って、リン酸の皮膜が形成されてない。

だめだ、こいつは完全に液に浸かった部分しか錆が取れないし、リンスは気休めレベルの様だ。

仕方ないので再度クリーナー液を注入。今度は天地をひっくり返して一晩置き、翌日液を抜いて、マジックリンと高圧洗浄機で洗浄、ドライヤーで乾燥。リンスはせず。

水分を乾燥させた染みは残っているけど、汚れは一切無く、錆も綺麗に落ちている。

上面のサビも綺麗に落ちた。

 
4.コーティング

タンクコーティングは NSR50 で使った POR-15 を使おうかと思ったんだけど、ちょっと入手しにくいのと、SRX のタンクは NSR50 のタンクと違って非常に液が抜けにくい(抜けない)ので、粘度の高い POR-15 はちょっと使いにくい。

また、POR-15 は1液性のエポキシで硬化に 72時間(3日)掛かるけど、ワコーズは2液性で、温度を 70〜80℃に上げてやれば 20 分程度で硬化するというのがあって、今回は施工のしやすさと耐久性で、ワコーズのタンクライナーを使う事にした(高いんだけど)。

と言う訳で、洗浄乾燥の終わったタンクに、2液をよく混ぜたタンクライナーを投入して、全体に行き渡るようにひたすらグルグル回す。

ちなみに、原液は底に思いっきり固形分が沈殿しているので、それが溶けきるまで十分に混ぜないといけないし、でも液を混ぜる時にあまり頑張ると泡が立って消えないので、静かに、且つしっかり混ぜるという技能が必要とされる (^^;

タンク内に行き渡らせたら、余分なコーティング剤を付属の注射器とチューブを使って抜けるだけ抜く。注入量の半分以上を抜けと説明書にはあるんだけど、100cc 注いで、抜く事ができたのは 40cc 強。
まぁいいか。

そして硬化。

適当な段ボールをつなぎ合わせてタンクを覆い、適当にビニール袋も被せて、硬化ブースを作成。

ドライヤーで温度を上げて、30分程コーティング剤を硬化させる。

硬化完了。

説明書には、2回コーティングがお勧めとあるので、一旦タンクを冷やしてから再度コーティング液を作って、同じ作業を繰り返し。

オーバフローパイプやタンクの入り口にはコーティング剤が回ってなかったので、この際にちょっと筆塗り。

2回目のコーティング完了。

なんとなく皮膜が強くなった気がする(笑)

コーティング完了後のタンクを見ると、コーティング剤が流れ出た痕が...

最初に穴の開いていたのと逆側だけど、サビ取り後の高圧洗浄で穴が開いたんじゃないかと思われる。

でもまぁ、コーティング剤で塞がっているのでOK。

実は錆取り剤での処理もハンダでの穴埋めもせず、高圧洗浄機と洗剤で洗った後に直接コーティングをしてしまう、コーティング剤で穴を塞いでしまうと言う手段もあったんだけど、今後のことも考えて、今回は穴埋めもサビ取りもやることにしたのよね。

 
5.仕上げ

裏面の錆を落として錆転換剤を塗り、ろう付けで塗料が剥げた所などを含めて黒スプレーを噴いた。

取りあえずは目立たない所だから良いけど、時間と金と根性ができたら、きちんと再塗装しないといけないなぁ。

古い燃料ホースとホームセンターの燃料ホースは捨てて、キジマの耐油ホースに交換。

内径は6mm。

タンクコックからの曲がりがきついけど、無問題。

ちなみに、タンクコックの奥側(車体前側)の、赤い印の付いたホースがメインで、手前側(後方)がリザーブになる。

メインコック側は、上がメインで下がリザーブ。

 
6.完成

念のために1週間、実は雨が続いていたので2週間放置してからガソリンを入れた。無論漏れはない。

これで後10年は戦えるぞ(笑)

しかし、折角磨き直したオイルタンクにガソリンが滴ってたらしく、表面のクリアが黄変してささくれていた。

これも根性と時間が出来たらやり直しだな。