フロントキャリパーのメンテナンス 2008/1/14

 
1.はじめに

フロントキャリパーのピストンがまともに動いておらず、ブレーキは効くのですが停止直前等の低速走行時にがくがくして、使いにくくって仕方がありません。

そこで取り敢えず揉み出しを行なったのですが、それぐらいではまともに動く程度には戻すことができず、こりゃぁ一旦外して清掃しないといけないなぁと思っていた矢先、リアのキャリパーがフルード漏れを起こしているのに気がついて、そちらを先にメンテナンスする事になりました。

ようやく年末年始の休みにやろうかと思ったら今度はシールの注文を忘れており、でも取り敢えずシールは再利用するつもりでばらしてみた所、フルードで圧を掛ければピストンは出てくるものの外れず。ピストン外しの工具で時間をかけてようやく外すと、キャリパーの中はフルード滓でコベコベ、シールはゴムが劣化して表面がべとべとという悲惨な状態でした。

歯ブラシとジフ程度では固着したフルード滓に歯が立たず、ワイヤーブラシでもだめ。

結局は細い針金でコリコリと地道にフルード滓を刮げ落として行き、最後はワイヤーブラシで仕上げです。

ピストンは液体コンパウンドで磨き、シールは中性洗剤で洗ってシリコングリスを塗って組み付けた所、まるで別物のようなブレーキに変身しました。(これはうれしい)

でもシールは劣化した古い物のままですし、ブレーキパッドも今イチ効きが良くありませんので、次はシールとパッドの交換です。

 
2.交換作業

今回はシールの交換とともに、ぼろぼろにさびていたパッドピンと押さえのβピンも交換します。パッドを押さえる板バネは十分に使えそうなので、交換無しです。

部品番号

部品名部品名

数量 単価 金額
1NL-W0047-00 キャリパーシールキット 2 2,005 4,010
1KT-25924-00 ピンパッド 2 346 692
1KT-25925-00 クリップ 2 189 378
90201-10118 ワッシャプレート 2 57 114

届いたパーツ。

パーツリストに載っている値段だと、キャリパーシールキットがが 1,300 円/セット。パッドピンが 220 円/本なので大分値上がりしている。

まあ、20 年前の価格表と比べるのも問題あるかもしれないが...。

これはオークションで手に入れた昔懐かしいベスラーのグリーンパッド。アスベストの使用が禁止された時に出てきたパッドで昔ちょっと使ってみたかった奴。

SRX 純正のメタルパッドよりも効きは悪い可能性があるが、昔使ってみたかったパッドだったので、あまりの懐かしさについ買ってしまった。

効きが悪かったらデイトナの赤パッドに換えるつもり。

洗浄を終わって組み付けを待っているフロントキャリパー。

右の4つがピストン。リアキャリパーのピストンよりも径が小さい。

 

付属のグリスを塗ってシールゴムをはめ込んだ所。

グリスは結構固くて塗りにくい。またイチゴジャムのように真っ赤なので、一見大量出血のように見えるのが欠点(?)。

ピストンにシリコングリスを薄く塗って押し込む。

もう、気持ちがよいぐらい軽く入って行く。

組み付け完了。

この後自転車の空気入れに浮き輪用の口をつけて、足で踏みながらエア圧でピストンを押し出し、手で戻して揉み出しを行なう。

1つ出にくいのがあったが、一旦外して再度グリスアップし、また押し込んで揉み出しを繰り返している内にほぼ均等に出てくるようになった。

キャリパーの取り付けネジに大分錆が浮いていたのでワイヤーブラシで錆を落として本体を取り付ける。そして座金を新品に取り替えてブレーキパイプを組み付け。

漏れたブレーキフルードは奥のバケツに入れた水で洗い流す。

今回パッドピンとクリップも新品に交換した。

左が元のパッドピン。
サビサビだった物を紙ヤスリとワイヤーブラシできれいにして使っていたが、錆の浸食でがたがたになっていたので新品に交換する。

ベスラーのグリーンパッドの角をヤスリで面取りして装着。

新しいパッドとパッドピンはやはり気持ちがいい。(どうせすぐ汚れるのにね)

今回導入の新兵器。

先日キャリパーをメンテした時にマスターシリンダーから中々フルードが降りてこなかったので、今回は注射器で吸い込むことにした。

注射器でフルードを吸い出す事によって楽々とエア抜きができる事を期待したんだけど、何回か吸い出しを繰り返しているうちにフルードは降りてきた物の、いつまでたってもエアーを含んでいて全然フルードだけにならない。

業を煮やしてフロントレバーを握り、通常のエア抜きに切り替えた所、すぐにレバーが固くなり、数回でエア抜き完了。ラインにフルードは引っ張り込まれていた様です。

パイプ内にフルードを引き込むには使えますが、エア抜きをこれだけでやるのは無理の様ですね。

 
3.できあがり

先にキャリパーをメンテナンスした時は劇的な変化でしたが、今回はそれに加えてもう少し滑らかになったかな、という感じです。やっぱりフロントブレーキの効きは滑らかじゃないとねぇ。

ベスラーのグリーンパッドの効きは純正とそれほど変わらないように感じます。ただし音は断然静かです。

純正はブレーキレバーを握り始めると「ジャー、チリチリチリ」と大きな音を立て始めるのですが、ベスラーのパッドは「シュー」と言う感じです。

また効き具合も純正が初期制動が弱く、握り込んで行くとギューッと効くのに対して、ベスラーは初期制動のコントロールがしやすく、引っ掛けブレーキが使いやすい、滑らかな効き具合に感じます。

これはパッドの材質がメタル系かノンアスベスト系かの違いなのかもしれません。

まあ、総合的に見て、メンテナンスとパッド交換は成功ですね。

でも、次に具合が悪くなってきて揉み出しでもどうしようもなくなったら、もうメンテナンスではなく、キャリパー&マスタシリンダ交換になるだろうなぁ。